つばめの飼育日誌 別館
ツバメレスキュー
天敵対策
【2】ダニ編
意外な強敵・ダニ
野鳥の体には、必ずとても小さなダニがついているものです。
成鳥は毎日水浴びをしてダニを落としていますのが、巣の中のヒナはこれが出来ませんので、梅雨時や夏場は巣の中でダニが大量発生することがあり、血を吸われたヒナが衰弱してしまいます。
小さなヒナにはこれが致命傷になる例も少なくありません。
このような場合、中のヒナを取り出してダニを取り、元の巣も殺虫処理して戻すか、巣のすぐ側に仮巣を設置してそちらにヒナを戻してあげましょう。
ダニの取り方
ダニの付いたヒナを一時保護した方の経験談を引用しますので、この要領でダニを取ってあげてください。
(白馬ツバメさん、ベラツバさん、葦原さんより情報を頂きました)
手順1:保温と餌の準備
ダニ取りのアルコールは気化するときヒナの体温を奪いますので衰弱しているヒナにとっては逆に余計に衰弱する原因になりかねません。
ダニが付いたヒナは一旦保温箱に入れ、補液や緊急の餌を給餌するなどしてまずは体力を回復させます。
保温箱の作り方や、餌・補液についてはコチラをご覧下さい。
手順2:ヒナのダニ取り
①犬用のダニ、ノミ取り用の薬をヒナの体に数箇所摺り込む。
鳥用虫よけ剤 「キクトールパウダー」(現代製薬)も市販されています。
②アルコールスプレーで湿らせたタオルでヒナの顔から下をすべて包む。
ヒナが気化したアルコールを吸わないように注意!
※アルコールを沁みこませたタオルの上から乾いたタオルを重ねて首から下を包むようにすれば、ヒナが気化したアルコールを吸わずにダニを取ることができます。
③しばらく放置→死んだダニがボロボロ落ちてくる
①~③を、保温給餌をして体力を回復させながら時間を置いて2回ほど繰り返せば体のダニもほぼなくなります。
手順3-1:巣のダニ取り
①巣の中を掃除機で吸い取り、鳥用ダニスプレーを吹きつける。
②乾いた後に台所用のアルコールスプレーを巣全体に濡れるほどに吹き付ける。
③ドライヤーの熱風で巣を乾かします。
ただし、この方法でも親鳥がアルコールの匂いを嫌って巣に近寄らなくなる事があります。また、巣の位置によってはこのような処理が難しい場合もあります。
その場合は仮巣を付けてその中にヒナを戻します。
手順3-2:仮巣の設置
なるべく元の巣に近い所に設置します。
仮巣の材料
籐カゴやカップうどんの容器など適当なサイズの箱
中に入れる新聞紙(深さ調節)や綿の柔らかい布
※仮巣の作り方や設置法はコチラを参照してください。
注意点
人間にもダニは付きます。必ず作業は野外で行い、捨てても良い服を着てビニールの手袋や軍手にビニールを巻くなどして行って下さい。
作業が終わったら着ていたものや巣材、ヒナのダニ避けに使ったタオルなどはゴミ袋を2重にして捨てるか、熱湯で煮沸消毒して下さい。
(普通に洗っただけでは、タマゴは死にません!)
☆ダニ避け&仮巣設置実例(一部抜粋:詳しくは元サイトをご覧ください)
情報提供者:葦原さん
2011年、葦原さんの納屋で子育てしていたつばめ、つがいのメスが途中で居なくなってしまい、オスの男手ひとつで3羽のヒナを育てていましたが、孵化2週間を迎えた6月26日、ヒナが巣の下に落ちておりました。
落巣前から親鳥の給餌の間隔が長くなっており衰弱したものと思われます。
(巣にダニがいると、親鳥が近寄れなくなる事があります)
1羽のヒナの体にはダニがついており、ダニ取りをしてから仮巣に戻したところ親鳥は子育てを続け、一週間後無事巣立ちを迎える事ができました。
①保護されたあと、湯たんぽの上で眠るヒナたち
➁ダニが居たヒナ、1羽隔離してダニ取り。
アルコールを含ませたキッチンペーパーで巻かれているところ。
③体重測定のようす。羽毛が揃ったヒナは実際の太り具合が外見だけではわかりにくく、衰弱を見逃してしまいがちですのでキッチンスケールで計ってみます。成鳥が18gですので、この子は健康優良児ですね!
④用意された巣台と仮巣。台の板は2枚重ねで上と下に分離出来るようになっています。
こちらの仮巣について詳しくは元サイトをご覧ください
⑤元の巣と仮巣。元の巣の周りの壁にもダニが付着していたので、壁をライターであぶって殺虫されました。(巣の周り、黒く見える部分がその跡です。
⑥親鳥が給餌にやって来ました!