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放野する(自然に帰す)

「独り立ちの訓練」がすべて出来たら、自然の世界に帰してあげましょう。
情が移ってしまって別れは寂しいものですが、それがつばめの幸せだと思ってください。
仲間と合流させれば、餌場やねぐらを教わることが出来ます。
必ず仲間のいるところで放野してください。

こちらも参考になります!→ピッピ ツバメの雛、保護から放鳥までの記録
京都野鳥の会の幹事で獣医師の三宅慶一先生から会誌に寄稿されたつばめの飼育記録です。(PDFファイル)推定生後6日目から、57日目まで、17回に及ぶ野外での放鳥訓練をされるなど、家族総動員の子育て記録です。

【1】放鳥チェック

リリースする前に以下の点をチェックしましょう。
赤字部分は「野鳥を助けるはじめの一歩」(出版:野生動物救護獣医師会)より抜粋しました。

●自分で餌を獲ることができますか?
お部屋に飛ぶ虫を放して自分で捕えて食べていますか?
生きた虫を怖がらず、食べ物と認識していますか?

●息切れをせず、部屋の中を数え切れないくらい何周も飛んでいますか?
すぐにとまり木にとまって休憩していませんか?

●体はフンや餌で汚れていませんか?
水浴びは毎日きちんとしていますか?

●羽づくろいはできますか?
水浴び後、尾脂腺から脂をとって羽根に塗っていますか?
羽毛は水を弾いていますか?

●翼や尾羽はすり切れていませんか?
風切羽根(大きな羽根)が落ちていた事はありませんか?

●痩せていませんか? 
体重は15グラム以上ありますか?
胸の筋肉はしっかり付いていますか?
鳥の胸の真ん中には「竜骨」という、人間の胸骨にあたる大きな骨があります。
これに翼を動かす筋肉が付着しており、充分筋肉が発達していれば、この部分を横から触ると弾力があり、骨に触れる事はありません。

竜骨の位置、筋肉の弾力を触って確認しましょう。

●その他のチェックポイント
外の景色や気温に慣れていますか?
生活リズムは野生のツバメと同じですか?

つばめは日本で越冬するのは困難ですが「放鳥チェック」で少しでも不安があれば、無理に放さずにそのまま翌年まで保護して、引き続き訓練してあげてください。
野鳥の保護は自治体の許可が必要ですし、また体調管理が大変と思いますが、ボランティアとして保護を続けている方達のお世話の様子も参考にして頑張って下さい。
栄養面、生活面など、獣医さんとも相談しながら小さな命を大切にしてあげて下さい。
 

※参考ページ「つばめのボランティアさん」 (ツバメの飼育日誌元サイト)

放野する(自然に帰す)
【1】放鳥チェック
【2】つばめの巣立ち後から渡りまで

【2】つばめの巣立ち後から渡りまで

つばめは巣立ちから10日程度は電線などにとまって親から餌をもらいますが、自分で餌がとれるようになると、親元を離れ、若鳥同士で群れを作ります。
おそらく体が小さくまだあまり上手に飛べない若鳥たちは、集団でカラスなどの天敵から身を守るために群れたがる習性を持っているのだと思われます。
巣立ってしばらくは、巣の周辺で数十羽の小集団を形成して暮らします。
集団の中には、まだ繁殖が出来ない未熟な若鳥や、その年の子育てに失敗した大人のつばめ達がいて、ヘルパーとして巣立ちヒナの世話(飛行練習や給餌など)をすると言われています。ですから、群れの中に放す必要があるのです。

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電線で親鳥に餌をもらうヒナ(巣立ち直後)

ご自宅に巣がある方の観察によると、巣立ちの時から先に巣立った他所の若鳥やヘルパーつばめ達が迎えに来ることもあるそうです。
また、多くの巣がある地域では、ひとつの巣で、親鳥の他に数羽のヘルパーが巣立ち前から給餌をしていることもあります。
このように、つばめはある程度大きな群れの場合、親鳥を中心にした群れで子育てをする習性があるのです。
(つばめのヘルパー行動については詳しく解明されていませんので、これはわたしの想像ですが、ヒナのうちから群れにスカウトしておき、次に自分の子育てをするときのヘルパーになってもらうのではないでしょうか。実際にそういった目的でよそのヒナをさらう習性の野鳥もいます。)

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もう充分大きいのにまだ甘えて餌をねだる巣立ちヒナ

【3】放野する
家から放す
コロニーを見つけて放す
集団ねぐらに放す

やがて、夏の終わりになると、河原の葦原などに数千羽~数万羽の集団ねぐらを形成します。
街でつばめを見かけなくなっても、しばらくはこのねぐらには多くのつばめが集まります。
秋になると、子育てを終えた親鳥が合流し、南に渡ってゆきます。
多くのつがいは春(4月~6月)と夏(6月~8月)の2回子育てをしますので、春に生まれたヒナは問題ないのですが、夏に生まれたヒナを保護した場合、もし放野が渡りの時期に間に合わなければ、1年待って次の年の渡りに合流させる事になります。
つばめは寒さに弱く、食物である虫も少なくなりますので、一部の越冬地を除いては、日本で、しかも人間の世話のもと冬を越す事は困難です。
あらかじめ、「日本野鳥の会」各地方支部、各自治体動物愛護課等に問い合わせて、集団ねぐらの場所と渡りの時期を確認しておいてください。

 

※日本野鳥の会でつばめの集団ねぐらマップを配布しています。
こちらのページから申し込めます。

↓こちらからも探せます
全国つばめの集団ねぐらマップ(Google Map)

バードリサーチさんの「つばめの集団ねぐらマップ」(現在テキストのみでMapが表示されません)
2006年度版
2007年度版 

【3】放野する

家から放す

家に巣がある場合は、その巣のヒナの巣立ちの時期に合わせて放すことができます。
晴れた日に窓を開けて、自分から外に飛んで行くのを待ってください。出来るだけ兄弟達の目に付くところが良いです。兄弟やヘルパーつばめが来て保護つばめと鳴き交わすようなら絶好のチャンスです。
ただ、これまで親が子育てをしていない場合(保護している以上、そのケースが殆どと思われますが)親が餌を与える事はないと思われますし、はじめは満足に餌を捕ることは難しいと思われますので、保護したつばめが餌を食べに帰って来れるように窓を開けておくか、外に餌を置いておくなどしてあげてください。
自然でも巣立って数日は巣に戻って夜を過ごしますので、窓を開けるか、外に巣箱を置くなどして、帰って眠れるようにしておいてください。
たまに他所の巣に紛れ込んで寝るつばめもいるそうですので、一晩帰ってこなくても数日間は引き続き帰れるようにしてあげた方が良いです。
外に巣箱を置く場合、こちらを参考に天敵に注意をしてください。猫やカラスはネットなどで近寄れないようにし、ヘビよけには、「木酢」というものが効果的だそうです。巣箱の周りにヘビが滑って近寄れないようにビニールを張り巡らせる方法も良いです。

コロニーを見つけて放す

つばめの巣が多くある地域(コロニー)の近辺の水田などに数十羽の小集団がよくいるようです。住宅地では電線や軒下に集団でとまっている場合もあります。
放すのは晴れた日の午前中、放す前に出来るだけたくさん餌を与えてください。
鳥かごや、箱に空気穴を明けたものに入れてコロニーの近くに連れて行き、いつでも出られる状態にして、仲間から見える位置に置きます。人間が近くにいると仲間達が
寄り付きませんので、離れたところでヘビやカラス、猫に注意して見守ってください。
猫、カラスは大声を上げて追い払いましょう。カラスは人を攻撃する事もありますが、目をそらさず、向かっていけば逃げるそうです。ヘビ撃退用に傘や杖を持って行くと良いです。
上記のとおり、若鳥は群れを作りたがりますので、迎えに来てくれるのを待ちましょう。

集団ねぐらに放す

コロニー付近に小集団も見られなくなっている場合、集団ねぐらに放すことになります。
ねぐらの出来る時期は地域によって異なります。「日本野鳥の会」各地方支部、各自治体の動物愛護課等などに問い合わせて訊いてください。
ねぐら入りは日が暮れる頃です。朝は日の出前4時半頃に起きてねぐらを出ます。
放野は午前中が基本ですが、放野前にはたっぷり餌を与えた方が良いので、夕方のねぐら入りに合わせて放野した方が良いでしょう。(あまりに朝早い時間に起こすと餌を食べません)
明るいうちはつばめ達はかなり上空にいます。薄暗くなるとだんだんと下に降りてきて水面や葦原の上を飛び交います。このタイミングを逃さないようにしてください。
この場合も仲間からよく見える位置にかごや箱をいつでも出れる状態にして置いておき、天敵に注意をして(要領は上記「コロニーを見つけて放す」を参照してください)、仲間が迎えに来るか、自分で飛び立つのを少し離れたところで見守ってください。

コロニーやねぐらへの移動中、鳥かごや箱はできるだけ揺らさないように注意してください。わたしは一度目の放野(失敗しました)のとき、不注意で乗り物酔いのような状態にしてしまい、床に墜落していまいました。一時的にバランス感覚がおかしくなってしまったようです。

※許可なく野鳥を飼う事は法律で禁止されています。
すずめっ子wiki』内、『都道府県別資料』に、各自治体の野生鳥獣担当部署の連絡先が載っています。
県によっては傷病動物の保護や、自然に帰すためのリハビリ施設などがあります。

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